家電メーカー 新規事業開発

既存のロードマップに基づいた開発だけでは、利益率は低減する。既存市場に製品が行き渡ると、買い替え需要を狙って、微調整した製品投入が続いてしまうのだ。

その流れを断ち切り、新たな家電カテゴリーを探しているメーカーと協業し、家電の新市場を探すこととした。このような調査では、従来対象としていなかった人たちがどのような未解決ジョブを抱えているのかを把握することが重要である。したがって、家電製品を通常とは異なる使い方をしている消費者や、家電製品を買わずに違う形でジョブを片づけている消費者を、まずリクルーティングした。

リクルーティングした想定外のユーザがどのようなジョブを抱え、どのように片づけているのか、彼ら彼女らの家を見ることでジョブが発生する状況も知るために、訪問ジョブ調査を行うことにした。調査対象者は、従来の「家電」があまり対象にしていない単身者でもある。従来の家電は大家族で、専業主婦が扱うことが当たり前になっているが、訪問した家はどれも、家族の単位は小さく、住人もほとんど家にいないという状況である。

そのような想定外の対象者から浮かび上がってきたのは、意外なことばかりであった。もちろん、家電として求められている大きさや価格帯といったものだけでなく、そのような使い方をしたいのか、といったこともわかった。そもそも家事をしたくない、という状況も手に取るようにわかった。そうなると、家電製品で片づけるだけでなく、サービスも提供した方がよいということになる。新製品のタネを探す調査は、結果として新サービスのタネが見つかるという結果になったのだ。